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■報告者:ミナミアンドアソシエイツ代表 南 岳男
■見学日:2006年2月6日 |
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入院患者数:700床
管理栄養士:5名 調理作業員:25名
当日案内人:松本栄養科長
原材料の入荷管理を徹底させる
2005年3月1日に、癌研有明病院の開院とともに地下一階に栄養科厨房がオープンしました。以来、食材の管理に関しては食品業者との共同合意により、流通も含めた厳しい温度管理が実施されています。 |
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入荷品は全て温度計測がされますが、温度計にはあらかじめ食材毎に規定温度が入力されており、規定範囲を超えたものに関しては返品されます。検品後の食材は、病院の専用容器に移し変えられ、食材毎のパススルー式の冷蔵室、冷凍室と食品庫に保管。搬入時のダンボール等は納入業者が前室にて整理後持ち帰ります。食品庫はレール式のキャビネットでコンパクトに整理され、レールの掃除は工夫が必要ですが、収納力とスペースの有効活用のためには参考にしたい機材です。 |
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下処理室と電解水の効果大
下処理室は野菜・根菜処理室と肉・魚の処理室に分かれています。肉・魚の下処理室はポーションカットされた食材を採用しているために、極めてコンパクトにまとめられています。いずれの処理室も食材の洗浄には電解水を利用して殺菌効果を高めており、特に、この部屋の床の洗浄と作業台の消毒には電解水を使用しているために、床のヌメリ除去と消臭効果が大になっています。
厨房施設全体に配置されている電解水の設備は高価ですが、化学洗剤の使用が減少し、環境に配慮している点は見習いたいところです。殺菌と清掃の効果は大ですが、電解水の使用に関しては金属の錆に繋がる恐れがあるために、継続的なメーカーのサポートが必要でしょう。 |
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加熱調理室は徹底した温度と時間管理
加熱室ではHACCPシステムを遵守し、芯温の確認と時間管理を厳守しています。クックチルは朝食のみに採用し、昼食と夕食に関しては当日の作りたてを提供しています。オペレーション全体の合理化から見れば、積極的にクックチルの採用や半加工冷凍食品のアウトソーシングを採用すべきですが、クックサーブに徹しているのは癌による入院患者が治療の過程で味覚障害を一時的におこしたり、あるいは、嗅覚が極めて敏感になるために、食材の鮮度を徹底して吟味し、作りたての味と匂いで少しでも患者の心に安らぎを与えたいという栄養科の願いに基づいています。
また、盛り付けに関する配慮も、本物の陶器を使用して味気なさを解消しています。機器類の設置はベースマウント方式を採用し清掃がしやすく衛生的。排気と空調には天井換気方式を採用していて明るく開放的な空間と緩やかなエアーコントロールが作業員に好評でした。 |
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器具洗浄と食器洗浄室について
調理過程での什器備品の洗浄に関しては、2ヶ所に専用器具洗浄機が配備されているのは衛生面からも良いことです。食器洗浄室は加熱室のスペースと比較して狭いと感じられました。エレベーター式の食器消毒保管庫がこの部屋の問題の解決に効果を発揮していますが、作業員の継続的な訓練が必要だろうと感じられました。
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HACCPモデル工場の設計コンセプトと施設概要について
アイビス株式会社の千葉セントラルキッチンは、リテールHACCPの基本の教育ビデオのモデルにもなっている工場として知られています。当日は須田専務様の丁寧なオリエンテーションにより衛生管理についての取り組みについて説明を受けました。モバイル給食として1999年に商標登録をしてケータリングを行っています。
1階の厨房スペースは300坪、2階は衛生検査室と会議室で100坪。当工場の稼動状況は2,500食〜4,500食/日で、55,000食/月、将来日産10,000食製造可能な機械能力で設計が行われています。現在、土・日曜日は稼動していません。クックチルは工場の計画生産にも大きく貢献しています。 |
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モバイル給食の意味するところは?
セントラルキッチンでクックチルシステムにより調理を行い、冷却してパッキングされた食品を宮城県から兵庫県までの広い範囲にクール配送を行っています。この利点はサテライトキッチンにおける顧客のスペース、人件費、光熱費の削減であり、機器購入の投資の削減に寄与することが目的となっています。(事例として、20食から30食の施設では10m2、47室の老人ホームでは18m2程度で済みます。)
各現場では炊飯と味噌汁の加工を行い、工場からのチルド食品を再加熱すれば良く、クックチルの再加熱にはスチームコンベクションが不可欠とされていますが、真空パックによる食品供給システムにより、小規模施設では湯煎を採用出来るために投資が少ない事も顧客にとって大きな利点です。
その他、顧客の食事対象者に対する計画的な栄養管理とバラエティにとんだメニュー計画を組むことが可能となります。通常、小規模施設では継続的かつ計画的に食事管理の出来る人員の確保は困難です。顧客としては115ヶ所のサテライトキッチン付の食堂(介護デイサービス、保育所など)、社員食堂など、合計150ヶ所に配送しています。 |
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ワンウエイの厨房設計と設備
厨房の設計コンセプトは、HACCPによる危害要因の排除のために入荷から出荷にいたる動線はワンウエイです。各セクションの温度管理は室温も含めて厳格に管理され、作業員も交差しない設計となっています。厳しいチェックを経た食材は食品庫、野菜冷蔵室、肉冷蔵室、魚冷蔵室に格納されており、いずれもパススルーシステムとなっています。下処理室が1ヶ所であるのは、カット野菜、肉と魚もポーションコントロールされており、バットに並べれば良いからです。
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下処理室から加熱室の中間には一時保管の冷蔵庫を完備。加熱調理室には4台のスチームコンベクションオーブン、4台の回転釜、大型ガスレンジ、フライヤー、5台のブラストチラーがあり、それぞれの機器の前面は、カート移動が容易なスペースを設けてあります。加熱調理室の温度は常に17°C前後。コールドキッチンと盛り付け室ともに食品に与える影響に配慮し、室温が低く抑えられていて、見学当日は12°Cでした。
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製品の衛生検査は培地検査を取り入れて専門の担当員により検査を行い、検査結果は各セクションの責任者と本社に報告されるシステムを取り入れています。食器・什器備品の洗浄室は洗浄機の中間に壁を設け、清濁の分離を明確に実行しています。 |
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配送管理の合理化
配送は宅配業者との契約により共通の配送ラベルを採用し、指示と伝票書き込みなど社内の作業軽減に効力を発揮し、合理化に貢献しています。
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見学会を終えて
今回の2カ所の施設見学を通じて感じたのは、HACCPの危害要因を排除するための食材の管理と調理施設の温度管理がなされていたことと。そして清掃を意識した設備の施工をしていた点です。作業中と清掃後の床のキープドライへの配慮や、衛生管理に対して、作業員とマネジメントの努力が絶え間なく続けられている事が感じられ、見学者一同大変参考になりました。 |