最適厨房研究会
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活動内容の報告 2007年度
 
概要と目次
総会
2007年度総会
外食研究部会
第1回外食研究部会
給食研究部会
第1回給食研究部会
第2回給食研究部会
第3回給食研究部会
セミナー・見学会
2007年度施設見学会
欧州厨房調査団報告
(第2回)
海外研修会報告
米国厨房視察団報告
(第1回)
外食研究部会施設見学会(ザ・ペニンシュラホテル東京)
給食研究部会施設見学会(涼風園)
最適厨房研究会 内容報告会
最適厨房研究会「米国厨房視察団」報告【第1回】(NAFEM会場視察)
 
■ 調査先:
NAFEM展示会
■ 報告者: 最適厨房研究会会長 王利彰
   
2007年10月7日より14日まで最適厨房研究会「米国厨房視察」を実施した。主な目的は、アトランタ市で開催されたNAFEM展示会見学である。10月11日にアトランタ市コンベンションセンターにおいて、Enodis社のChief Technology OfficerであるMr.Richard Caron氏に米国厨房業界の動向をご説明いただいた。その内容を報告する。
2007年10月11日〜13日開催。NAFEMショー
 

Enodis社の米国厨房業界動向について

(1) Consumers are changing/消費者の好みの変化の早さに対応

消費者は変化を遂げており、それにどのように対応するのかが重要だ。顧客は貴社のオペレーション(経営手法)にたいして味覚、行動、要求の面で常に進化をしている。エノディス社は変化を遂げる顧客のトレンドを明らかにすることによって、対応を迫られる外食業界に解決策を提供する。

外食業界に対する顧客の要望の変化や食トレンドの変化が早いので、単一の企業ではその変化に対応できない。エノディス社はそれらを分析し、どのように対応するかを提案している。

 

(注)米国の外食業界の変化
米国では第2次世界大戦前にはハワードジョンソンのようなファミリーレストラン(コーヒーショップ)が主力であったが、第2次大戦後の経済復興を目的としたハイウエー建設の結果、自動車産業が発展し、住宅地が郊外に広がっていった。それに対応するべく、KFCやマクドナルド、ダンキンドーナツなどのファスト・フードが誕生した。それらが急成長した後、消費経済の成長と共に消費者の高級志向がカジュアルレストランというアルコール比率の高い業態を生んだ。

20年程前にはファスト・フードの不健康なイメージを脱却しようとファドラッカースのようなファスト・カジュアル業態が誕生し5年程前にはファスト・フードを脅かす勢いとなった。また、スターバックスはグルメコーヒーを武器にマクドナルドやダンキンドーナツ、オーボンパンのようなファスト・フードの都市型の店舗の売上を侵食してきた。これらの動きに対応するべく、ファスト・フード業界はファスト・カジュアル業態に買収攻撃をかけ、自社の売上げを上げるだけでなくノウハウの吸収を開始した。

しかし、2年ほど前から投資ファンドがそれらの大手ファスト・フード企業の株式を買収し、ファスト・フード企業のリストラによる株価の向上をめざし始めた。そのため、各ファスト・フード企業は参加のファスト・カジュアル業態の売却に動き始めた。この時点ではファスト・フード企業はファスト・カジュアルのノウハウをしっかりと吸収していた。その結果、マクドナルドは食事の代わりになるサラダメニューや健康的なイメージのある高級チキンサンドイッチを開発し、スターバックスに対応できるグルメコーヒーの開発や店舗のイメージアップを開始し、業績を大きく伸ばすことに成功した。

一時は絶好調であったカジュアルレストランは、ガソリン価格の高騰や食材コストの上昇を上乗せした売価の上昇により不振を極めるようになったし、ファスト・カジュアルも最近日本に進出したクリスピークリームのように極度の不振を極める業態が出てきた。

 
(2)Clockless/長時間営業への対応
顧客は日夜関係なく食事を求めるようになり、時の概念がなくなっている。エノディス社は24時間何時でも顧客の要望に応えなければならない外食企業に、人件費を増大させないで料理を提供できるような手法を提供する。
  • 24時間稼動という過酷な仕様に耐えられる調理機器の開発。
  • フレキシブルで、早く、そして簡単に使える調理機器の開発。
  • 熟練した調理人を必要としないで、多くのメニューを調理できる賢い調理機器の開発。
    (ハンバーガーを焼くクラムシェルグリルであれば複数の調理をするのに必要な間隔と温度、時間を簡単にセットできるようなプログラムを組み込み、フライヤーであればクッキング・コンピュータを組み込み、料理により簡単に時間、温度を調整できるようにする。)

当社の製品には加熱調理機器、クリーブランド社のコンボサーモ(スチームコンベクションオーブン)やリンカーン社(サンドイッチチェーン向けのフュージョントースター)、ガーランド(クラムシェルグリル)メリーシェフ(温風と電子レンジの複合調理機器)がある。調理済食材の保存に対しては、デルフィールドの冷蔵機器やフライマスター社やメルコ社の保温機器がある。

飲料ディスペンサーに関しては、朝昼夜によって変化する飲料メニューへの対応を可能にするスコッツマン社やアイスオマティック社の製氷機がある。こうした機器の性能や特徴を把握していただいて、それらを組み合わせることにより貴社の年中無休、24時間営業に対応できるにしていただきたい。

 

(注)24時間営業の外食産業が急増
米国では共稼ぎが多く、1食に費やす調理時間は15分しかないと言われている。そのために中食や外食業界の利用が多い。しかも年々労働時間が変動し、早朝勤務、深夜勤務などが増えている。それに対応するためにファスト・フード業界は24時間営業を迫られている。

マクドナルド社では可能な店は24時間営業を実施し、24時間営業でない店舗でも従来の開店時間午前7時を午前5時に早めるようになっている。閉店時間は24時となっている。マクドナルド社やバーガーキング社は早朝営業に対応する朝食メニューを強化し、対前年の売上げを大きく伸ばしている。

また、従来は朝食、昼食、夕食の3時間帯であったが、長時間営業に対応するために軽食(スナック)の強化やコーヒーなどのカフェ機能を強化している。現在米国マクドナルド社の店舗の12%が24時間営業で、ソニックは全店24時間営業、ウエンディーズのドライブスルーは24時間営業となっている。

 
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