(注)米国の外食業界の変化
米国では第2次世界大戦前にはハワードジョンソンのようなファミリーレストラン(コーヒーショップ)が主力であったが、第2次大戦後の経済復興を目的としたハイウエー建設の結果、自動車産業が発展し、住宅地が郊外に広がっていった。それに対応するべく、KFCやマクドナルド、ダンキンドーナツなどのファスト・フードが誕生した。それらが急成長した後、消費経済の成長と共に消費者の高級志向がカジュアルレストランというアルコール比率の高い業態を生んだ。
20年程前にはファスト・フードの不健康なイメージを脱却しようとファドラッカースのようなファスト・カジュアル業態が誕生し5年程前にはファスト・フードを脅かす勢いとなった。また、スターバックスはグルメコーヒーを武器にマクドナルドやダンキンドーナツ、オーボンパンのようなファスト・フードの都市型の店舗の売上を侵食してきた。これらの動きに対応するべく、ファスト・フード業界はファスト・カジュアル業態に買収攻撃をかけ、自社の売上げを上げるだけでなくノウハウの吸収を開始した。
しかし、2年ほど前から投資ファンドがそれらの大手ファスト・フード企業の株式を買収し、ファスト・フード企業のリストラによる株価の向上をめざし始めた。そのため、各ファスト・フード企業は参加のファスト・カジュアル業態の売却に動き始めた。この時点ではファスト・フード企業はファスト・カジュアルのノウハウをしっかりと吸収していた。その結果、マクドナルドは食事の代わりになるサラダメニューや健康的なイメージのある高級チキンサンドイッチを開発し、スターバックスに対応できるグルメコーヒーの開発や店舗のイメージアップを開始し、業績を大きく伸ばすことに成功した。
一時は絶好調であったカジュアルレストランは、ガソリン価格の高騰や食材コストの上昇を上乗せした売価の上昇により不振を極めるようになったし、ファスト・カジュアルも最近日本に進出したクリスピークリームのように極度の不振を極める業態が出てきた。 |