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活動内容の報告 2007年度
 
概要と目次
総会
2007年度総会
外食研究部会
第1回外食研究部会
給食研究部会
第1回給食研究部会
第2回給食研究部会
第3回給食研究部会
セミナー・見学会
2007年度施設見学会
欧州厨房調査団報告
(第2回)
海外研修会報告
米国厨房視察団報告
(第1回)
外食研究部会施設見学会(ザ・ペニンシュラホテル東京)
給食研究部会施設見学会(涼風園)
最適厨房研究会 内容報告会
最適厨房研究会「米国厨房視察団」報告【第1回】(NAFEM会場視察)
 
(3) Convinience/便利さへの対応

消費者は場所を問わずより多くの種類の料理とより良いサービスを期待している。エノディス社は、高速調理機器技術と調理の出来栄えの良い調理機器を、調理機器業界の中は最も種類をそろえている。それらの機器は以下の内容となる
  • 小型の調理機器を取り揃え、どのような場所にも出店を可能にする。
  • 調理時間を短縮しながらすばやいサービスと多様なメニューの提供を可能にする。
  • 新しい立地、調理能力の改善、顧客満足度を高める、コストを削減し高い利益を出せる。

 

当社の調理機器とデルフィールドの冷蔵庫組み込みのワークステーションを組み合わせることにより最小のキッチンで最新のトレンドに沿ったメニューを提供できる。それらは以下の内容となる。
  • サンドイッチチェーンのためにはリンカーン社のコンベヤーオーブン、メルコ社のディスプレー保温機器がある。
  • パスタやオムレツを作るためにガーランド社の電磁調理機器がある。
  • 朝食対応としてメリーシェフ社の温風とマイクロウエーブの高速複合調理機器がある。

 

便利さが要求されるコンビニエンスストアのセブンイレブンで調理をするには小型の調理機器が必要となる。実際の例ではグルメピザチェーンのカリフォルニアピザキッチンのために10平方メートルの超小型のキッチンを設計した。小型でありながら年商1ミリオンドルの売上を上げる能力を備えている。そのために調理機器を小型化するだけでなくキッチン内に設置する保温機や冷蔵庫までモジュール化し全体の小型化を可能にした。

また、高級業態のカジュアルレストランも顧客の要望で料理テイクアウトを可能にしている。場合によっては売上げの10%にもなるので、顧客への早いサービスを実現するために車に乗ったまま注文をして配達したり、専用の入り口を設けてすばやく調理をしたり、持ち帰り専用の駐車場を用意するようにしている。アウトバックステーキハウスやチリーズなどのカジュアルレストラン大手がその対応を行っている。テイクアウト客を待たせないことが重要で、高速調理技術の開発を行い、従来の10倍の速度で調理できるようにしている。そのためにコンベクションオーブン、ラジアントヒーター(遠赤外線ヒーター)、電磁調理、コンベクションオーブン、接触式加熱などを使う調理機器を開発している。

実例を挙げると、骨付きのラムラックの調理だ。スチームを使う複合加熱をコンピュータで制御し、90秒間で調理を出来るようにした。このサービス時間を短縮するノウハウは単に調理機器の開発だけでなく、原材料の受け取り、保管と下拵え、食材準備、調理、顧客への提供のそれぞれの過程を総合的に見直すことにある。

 
(注)小型でスピーディな機器が求められている
外食業界は既に過剰な店舗数という問題を抱えており、売上げを伸ばすには、従来の立地に加えて従来の外食が営業をしない立地の開発が必要になってきている。そのために空港、学校、病院、スーパーマーケット、百貨店、他企業の店舗の中に小型店舗を複合出店等を行うようになってきた。これらの立地は小型の面積でなくてはいけないし、建設時間も短時間であることが要求され、モジュール化の小型で高速のキッチンを総合的に開発することが必要になってきている。
 
(4) Sensory Appeal/五感に訴える

消費者は彼らの五感に強く訴える料理や体験を求めるようになっている。料理の色彩、香り、食感、等の全てが消費者に提供する料理に求められるようになっている。エノディス社の技術は消費者の五感に強く訴えることを可能にしている。

高速調理を強調したが、調理技術でもっとも大事なのは料理の品質。どんなに健康的な料理でも味や品質が悪ければ消費者に受け入れられない。消費者を総合的に満足させるためには調理機器の外観(調理機器の色、形、デザイン)、調理機器が発生する匂い、音(静かでなければならない)も重要になってくる。

例を挙げると、マクドナルド社は、ヨーロッパのドイツで、米国とは全く異なるヨーロッパスタイルのマックカフェを開発している。マックカフェは従来のマクドナルドとは使用する調理機器や調理機器が発生する音、提供する料理、調理機器やキッチンのデザインが全く異なっている。現在のファスト・フード業態は従来のように無機質なデザインでなく、スターバックスのようにゆったりとした客席や、全体を見渡せるキッチンにして、顧客が調理工程を楽しめるようにしている。スターバックスの飲料などの値段が高く設定できるのは、店舗やキッチンの雰囲気が良いからだ。

これからの総合的なキッチンシステムは調理機器だけでなく、人(顧客)、料理、そして調理機器の3つのバランスを取りながら考えなくてはいけない。

 
(注)デザインの重要性
マクドナルドやダンキンドーナツ、オーボンパンはスターバックスの都市型出店により大きなダメージを受けたが、それは飲料などの品質だけでなく、スターバックスが消費者に訴えるサードプレイスという居心地の良い環境作りであるということに気が付いた。そのためにマクドナルド社は2年前の創業50周年の際に、シカゴ郊外のオークブルック・ショッピングモールと旧本社の間の地区本部あった場所に、新しいデザインの2階建てのしゃれた店舗を作り上げた。通常の店舗とマックカフェを組み合わせたものだ。この店舗は急逝した前社長のチャーリー・ベル氏の記念店でもある。同じく2階建ての店舗には40インチ近い巨大な薄型ディスプレーを24台備え画像を流している。また、保守的な同社には珍しく、各客席に電源とインターネットの接続を備え、客がいろいろな情報を入手できるようにしている。客席は従来のタイル張りではなくカーペットを敷き、プラスチックの冷たいいすから革張りの柔らかいソファーに変更した。

店舗外観も従来の屋根裏部屋型の古臭いデザインからかまぼこ型の明るい色彩の外観に切り替え、看板も赤いプラスチックからお洒落なカフェ風の落ち着いたデザインにした。マクドナルドを脅かしたファスト・カジュアルの店舗は調理場を全て見えるようにして、調理工程を顧客に見せて楽しませたり安心感をかもし出している。そこでマクドナルド社はなるべく調理工程を顧客が見えるように改善をしている。

スターバックスにビジネスを奪われたオーボンパンは、そのほとんどの店舗を売却し(現在は給食大手のコンパスが所有)、パネラブレッドと言う高級サンドイッチ業態を開発した。オーボンパンは大型の工場で製造した冷凍パンを使用していたが、冷凍パンは冷凍耐性のある特殊なイースト菌を大量に使うために味が悪いという問題を抱えるだけでなく、工場への多額の投資が必要であった。そこで、パネラブレッドの展開にあたっては味を最優先にして天然酵母を使用し、複数の店舗ごとに小型のカミサリー(下拵えと配送機能)を設置し天然酵母を使用してこね上げたドウを冷蔵状態で店舗に配送し、夜間に店舗ごとに焼き上げるという品質第一の仕組みを構築した。

オーボンパン時代の店舗は店舗が狭く、ファスト・フードのようにタイルとプラスチックの椅子テーブルを使用していた。それがスターバックスの居心地よさに対する敗北の原因であるとして、パネラブレッドの標準店舗は150席のゆったりとした客席と、高級レストラン並みのデザイン性のある内装を備え付けた。現在では米国の外食業界では売上げの伸びが第一位である。

 
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