(4)欧州厨房機器メーカーに課せられているテーマと、進むグループ化
Di Bari副社長によると、エレクトロラクス社は7%の研究開発費を投入しているとのことであった。これについては、メンバー一同驚きの様子であったので、その背景についてDi Bari副社長の説明を以下に記述する。
「欧州における厨房機器製造会社には、製造される機器が作業員に最適な作業環境と人間工学に基づく機器であることが明確なテーマとして課せられている。まず、作業環境保持を目的とした室温低下維持のための放熱の減少、稼動音の減少、省エネルギーと自然環境への配慮が明確であること、安全配慮、HACCPなどへの対応として清掃性が良いこと、などを基本的に明確にすることが最終ユーザーより求められている。
これらの市場の要求に対しては、開発費への投資が続けられる企業であること、技術開発のための人材が確保できることが不可欠となり、このテーマに対応しきれない企業は淘汰されるのである。従って、資本力のない中小の製造メーカーが、大手のグループ(Enodis,Aliグループ等)に自社の技術力を売り込み、生き残りをはかっているのが現状である。
しかし、グループ参加はしてもブランド名を生かしていることが多い。多くの場合は資本参加であるが、エレクトロラクス社は100%の持ち株であることが他のグループと根本的に違う。このため、開発のスピードが速いことと意思決定が明確でスピーディである利点が出ている。
HACCPや環境問題に対しての的確な提案機器を市場に提供することにより、欧州の製造メーカーは欧州のみならず世界市場に確固たる地位を築いたといっても過言ではない。従って、市場開発と同様に、技術開発にはこの程度の開発投資額は必要不可欠である、との方針が明確に企業方針として課せられているのである。その結果として、米国を含む世界市場において欧州メーカーの進出が顕著であることが、これを証明している。」 |