最適厨房研究会
HOME最適厨房研究会とは活動内容の報告研究成果の発表会員からの情報発信
HOME > 活動内容の報告〈2008年度〉(概要と目次)> 最適厨房研究会「欧州厨房調査団」報告
活動内容の報告 2008年度
 
概要と目次
総会
2008年度総会
外食研究部会
第1回外食研究部会
給食研究部会
第1回給食研究部会
第2回給食研究部会
第3回給食研究部会
セミナー・見学会
欧州厨房調査団報告(第4回)
施設見学会報告
情報提供セミナー報告
 
最適厨房研究会「欧州厨房調査団」報告
世界料理オリンピックの報告ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ国立高等学校の報告フェランディ校の報告
 

ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ国立高等学校の食堂視察

建物外観。校舎は、真ん中が大きく開いた四辺形で、真ん中の空間には校舎が設けられ、バスケットボールなどの運動をすることが出来る。1930年代に建てられた建物は、パリ市の歴史的建造物に指定されており、改修する場合には市からの許可が必要。

住所:1 place Prote Molitor in Paris 16éme
調理食数:1000食/日 
調理システム:クックサーブシステム
HP日本語:http://www.lycee-la-fontaine.org/

 

1930年代を代表する歴史的建築物を改修した厨房

10月23日(木)には、ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ国立高等学校の食堂を視察しました。同校のホームページによればジャン・ド・ラ・フォンテーヌ国立高等学校は、1935年から1938年にかけて建てられました。建設地は昔、パリの城壁の1ヵ所でした。入り口の大きい扉は錬鉄でできており、校舎は真ん中が大きく開いた四辺形です。この空間には校庭が設けられ、バスケットなどの運動をすることが出来ます。

この校舎は、光に満ち、バランスがよくて、シンプルで装飾的なスタイルで、建設年代を代表しています。建築家のエロー(HERAUD)氏がデザインしたものです。1944年8月、アメリカ軍営病院となり、1945年に再び高等学校にもどりました。

教育面では語学教育に力を入れているのが特徴で、1990年からは日本語教育を開始しました。その縁で日本からは天皇陛下が訪問され、その記念として日本のお雛様の人形が飾られています。選任の日本語講師のほかに、パリ駐在日本人の奥様方たちが生け花などを教えています。その親日的な同校の調理場を見学させてもらうことになったのです。

 
地下の厨房では、徹底した温度管理を実現

見学にはキッチンプランナーであるジレ・カステル(Gilles Caste)氏が随行し、解説していただきました。1日の調理食数は1000食です。キッチンの改修は既存の調理場を使いながら、2003年から開始し2007年に完成。4年間を費やしました。改修前はガスレンジが中央にある30年以上前のシステムでした。また、この建物自体は市から歴史的建造物に指定されており、改修する場合には市からの許可が必要で、その手続きが難しかったのです。

厨房で働く従業員はパリ市の管轄下にあり、調理人はパリ市の公務員の身分です。日本の学校給食と同様ですね。厨房は地下にあり、調理後の冷たい料理は4℃〜10℃、温かい料理は63℃以上で保冷・保温しなければなりません。(ちなみに温蔵庫の温度はフランスの以前の基準では65℃以上でしたが、ユーロ規格になり変更になりました。)

厨房の熱源は市の熱源供給会社が供給する蒸気は使用せず、電気とガスを併用しています。オール電化にしない理由は湯を大量に使うため熱効率の良いガスを併用するようにしているためです。

左)客席も地下になるが、外光が届くよう工夫されているため、大変明るい。 右)食品の受け入れ(検品)室。地下の厨房に外光が届くよう、吹き抜けにして工夫されている。

 
照度と音量の管理による、快適な作業環境

地下の厨房で苦労したのは、太陽光を地下まで届かせることでした。現在の新築の調理施設では目の高さに太陽光が当たるようにしなければなりませんが、旧型の建物なので苦労しました。そこで、元々ある窓から差し込む太陽光が地下の厨房に届くように、写真のように吹き抜けを用意したのです。厨房と同じ地下にある食堂も太陽光が差し込むように工夫をこらしています。

厨房エリアの照度は倉庫200ルックス、メインの調理室300ルックス、客席500ルックスとしています。厨房で発生する音量は62デシベルに抑えて、作業環境をよくする努力をしています。日本ではこの基準が明確でないので大変参考になります。特に照度だけでなく、音量もきちんと管理するのは素晴らしいことです。

調理機器はセンターの片側にオートリフト式フライヤーが2台、ブレージング・パンが3台、反対側にスチームケトル2台、フレンチのイーブンヒートトップレンジとガスコンロのコンビ1台、ロールインタイプのスチームコンベクションオーブン2台(コンボサーモ、ともう1社2種類)を使用しています。シンプルなレイアウトです。地下室はフードにガラスを張り、外光が届くような工夫をこらしています。また、休憩室やトイレなどの表示の絵がお洒落で、さすがフランスだと感心しました。

見学後同校にて昼食をとりました。ちょうど学生も食事をしていました。価格は中学生と同じ内容の食事は一人5ユーロでした。料金支払いはプリペイドカードですが、入り口にトレーのディスペンサーがあり、そこにカードを挿入すると料金が引かれ、代わりにトレーが出てきます。その後、カフェテリアラインで料理を選んでいきます。まず、パンとフォーク、ナイフを取り、次に、デザート(ヨーグルト、ブドウ、みかん、グレープフルーツ)、サラダ(ツナとトマトのサラダ)、チーズ等を選びます。本日のメイン料理は温かいベーコン、ソーセージ、ハム、煮豆の付け合せです。私たちは先生用のテーブルで食事をしたのですが、さすがフランス、ワインの大きなボトルが置かれていました。塩味がややきついのですがなかなかおいしい料理です。

「世界料理オリンピック」の報告へ
「フェランディ校」の報告へ

 
ページの上部へ戻る