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活動内容の報告<2012年度> 最適厨房研究会「欧州厨房調査団」報告

ミュンヘン市内観光 病院「LANDESKRANKENHAUS FELDKIRCH」視察 エルクトロラクス(タルマ)工場視察 ハルトン工場および実験施設 セントラルキッチン「Caisse des ecoles Paris 20eme」見学

セントラルキッチン「Caisse des ecoles Paris 20eme」見学 10月25日

セントラルキッチンの外観
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市が所有している施設であり、1万4000食を提供している。加熱調理のスペースが160m2。ハルトンのシステムとしては、換気天井システム、脱臭装置、ヒートリカバリーシステムが導入されている。セントラルキッチンと事務所ビルが一体となっており、フードコンサルティングと有名なデザイナーが連携してデザインしたため、デザイン性がとても高い建築物だった。住宅街に建設されているため、周囲の環境に配慮し、近隣に溶け込むデザインになっている。セントラルキッチンとは気づかれないようになっている。地域の20の学校や幼稚園などに供給している。フランスにはフードコンサルティング会社が100社以上あり、厨房を設計する際には日本とは違って通常コンサルティングが入る。

食材の動線は一方通行になっており、衛生管理が徹底されている。キッチンの基準ではないが、フランスの衛生管理の基準HQEに適合させている。省エネにも積極的に取り組んでおり、グリーンビルディングとして建設した。建設費は920万ユーロ程度(担当者の記憶による範囲なので確かか不明)。日本と比較して耐震性が少なくて良いので安いのではないか。クックチルで各施設に食料を供給し、各学校で再加熱する。20区に存在する高校までの学校。ランチだけを供給している。

三つのステップで設計している。ゾーニング→エアカーテン→風量を決める。アクティブエリア(油煙や水蒸気が多く発生して室内環境への影響が大きいエリア)とニュートラルエリアに分けており、アクティブエリアの換気天井システムにはUVを設置している。

ヒートリカバリーシステムは、厨房の排熱を回収するシステムであり、回収した熱は暖房の予熱に利用している。システムには、フィルターとUVシステムが入っている。能力は800kw、28000m3/h。

厨房内の照明は500ルクス以上にしており、厨房外部は一面窓になっており自然光を積極的に取り入れるなど、光環境にも配慮している。

本厨房では、UVシステムを導入している。過去に、電動カッターでダクトを切っていたらダクトが燃えたケースがあり、ダクト火災対策としてUVシステムが注目されている。また、フランスでは作業者の不足が問題であり、厨房の快適性を維持しないと雇用を維持できないため、厨房の環境(温度、光、デザインなど)に力を入れている。

オフィスゾーンとセンター(厨房)ゾーンで床の素材を変えており、オフィスゾーンは通常の床だが、キッチンゾーンは滑りにくいようにザラザラした床の素材になっている。

【見学】
動線に沿って見学した
【搬入】搬入口と搬出口が別れている。トラックの荷台に合わせて高さが変わる。近くのオフィスビルに配慮して、トラックの騒音や臭いを広がらないように中庭に搬入搬出口を配置している。

【左】搬入口  【右】搬入後の一時保管庫
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【保管】搬入された食材にはラベルが貼付されており、すべての食材のラベルをスキャンして食材の情報を管理している。5つの冷蔵冷凍庫にストックする。3つの温度に分けて管理している。冷凍冷蔵庫はパススルーになっており、保管した食材は庫内の反対側の扉から取り出す。食材ごとに分けて搬入している。庫内と扉内側と外側で温度管理をしている。

洗剤は一箇所で管理しており、調理スペースに洗剤が入らないようにしている。洗剤の種類を変更するのが大変とのことだが、衛生性を最優先している。

【左】扉の外側の温度センサー  【中】通路から5つの冷蔵冷凍庫 【右】洗剤室
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冷蔵冷凍庫の反対側の扉から食材を取る。扉の色(オレンジ、グリーン、シルバー)で扉の向こうの食材の衛生性のレベルが視覚的にわかるようにしている。下の写真【中】は食材を洗浄し加工するゾーン。このゾーンから衛生のレベルが上がるため、靴と手を洗い、マスクとキャップを装着する。緑の扉の向こう側は、加熱スペースとなる。

【左】冷蔵冷凍庫の取り出し扉 【中】洗浄加工ゾーン 【右】洗浄加工ゾーンから加熱室へ
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梱包ゾーンでは機械により食材を梱包しており、食材と機器やテーブルと触れないように衛生管理されている。

【左・右】梱包ゾーン
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加熱調理エリアでは、グレーチングパンと回転釜とスチコンがそれぞれ3〜4台並んでいる。外壁はすべて窓になっており、調理エリアもとても明るい。調理室エリア上部は換気天井システムが導入されており、梱包ゾーンの上部からはパンチングの給気口から置換換気の給気を行っている。油調理上部のフードにのみUVシステムが入っている。室内環境はとても快適で、調理機器から排出された蒸気やスムーズに換気天井システムから排出されていた。

調理室横には、トレーなどを洗浄するための洗浄室が設けられており、BOXタイプの洗浄器が2台設置されていた。それぞれの洗浄器の上部には、円筒状のフードが設置されていた。給気は、日本の厨房ではほとんど設置されていない丸型のアネモにより給気がされていた。アネモは天井に付着噴流を形成し、室内を静穏にするので、調理機器からの蒸気がまっすぐに上昇し、レンジフードから捕集されていた。

加熱された食材は、機械により封がなされ、加熱されたものと非加熱のものがブラストチラーにて冷凍される。ブラストチラーはパススルーになっており、反対側の冷凍スペースに運ばれる。すべての動線が一方通行になっており、衛生面の管理が徹底されていた。

【左】グレーチングパン 【中】回転釜 【右】スチームコンベクションオーブン
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【左】梱包スペース 壁面は一面窓で採光している 【中】洗浄室 【右】ブラストチラー
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【冷凍スペース→搬出】ブラストチラーの搬送側の扉から食料を取り出す。カラフルなトレーは全て回収して洗浄して再利用するシステムになっている(白いトレーは廃棄している)。搬出口横にコンベアタイプの洗浄器が設置されており、トラックの運転手が自ら洗浄器を使ってトレーを洗っており、トレーの洗浄方法に関してまで含めて完全にオペレーションされていた。

冷蔵トラックは、待っている間に充電し、食材は各施設までチルド状態で運搬される。学校に搬送後、再加熱して提供される。チルドされた食材が乗っているトレーには、食材の種類と調理時間が記載してある。

【左】ブラストチラーを搬送側から見た様子  【右】食材を搬送するトレー
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【左】トレーをトラックの運転手が洗浄する様子 【右】搬送トラックを充電する様子
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厨房の上部の2階スペースには、熱回収装置(ヒートリカバリーシステム)が導入されている。回収された熱は、暖房の予熱に使用されている。また施設屋上は緑化がされており、環境に配慮した建築物だった。

【 左】ヒートリカバリーシステム  【右】緑化された屋上
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今回見学させていただいたセントラルキッチンは、オフィス街の真ん中にあることで、周囲環境にも配慮しつつ、排熱回収するなど地球環境にも優しく、さらに厨房内環境は調理排気や調理から排出される熱を適切に排出し、調理者にもとても優しい厨房でした。また、トラックの運転手がトレーを洗浄するなど、運用システムも構築されていました。日本でもこういった厨房やシステムが広がることを期待する。

●終わりにあたって
今回の視察では海外の最先端の厨房機器や換気システムを視察することができ、今後日本の厨房を改善するため、厨房機器の開発や換気システム開発、日本の厨房のレギュレーションの基礎となる情報を収集でき、とても貴重な経験となりました。今回の視察先の手配や準備をしてくださったエレクトロラクスの浅井様と上原様、ハルトンの町井様には多大なご協力をいただき、感謝いたします。ありがとうございました。

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