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活動内容の報告<2012年度> 最適厨房研究会「欧州厨房調査団」報告

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ハルトン工場および実験施設 10月24日

Heikki.Rinne氏(CEO)に迎えていただき、ハルトン社の概要について説明があった。

創業は1969年、営業所を25カ国に保有し、従業員数は1250人。2011年の売り上げは145億ユーロ。ハルトンは、省エネで安全で健康に配慮した環境を創造するための製品やシステムやサービスを提供する室内環境のスペシャリスト。「indoor environment specialist」、「energy」、「safety」の大きな3つの柱を大切にしている。フィンランド、アメリカ、シンガポールなどを拠点に活動しており、小さな会社だがその国で1、2番を目指している。

大きく3つの事業に特化しており、3つの事業部がある。「室内環境事業部」「マリン事業部」「厨房環境事業部」。本日は、厨房環境事業部のGeorges Gaspar氏より、厨房に関する取り組みについて説明する。

【左】軽食を取りながらの情報交換  【右】ハルトンからのプレゼンの様子
【写真クリックで拡大】

Georges Gaspar氏(Director)から厨房分野の取り組みについて情熱的に説明していただいた。

「快適」が一番の目標になっている。キッチンだけではなくて全体のソリューションを継続的に行えるようにしている。シェフが調理に集中できる環境を提供できるように、「情熱」を持って楽しんで取り組んでいる。厨房分野では「Energy Efficiency」「Indoor Environment」「Air Purification」「Safety」の4つの柱を組み合わせて、「HIGH PERFORMANCE KITCHEN」を作ることをコンセプトとしている。

ターゲット市場としては、現在はホテルが一番重要な市場と考えている。二つ目はクイックサービスレストランで、エネルギーに注目が高まっており、今後の成長する市場と見込んでいる。三つ目は病院であり、病院は日本で伸びている。ヨーロッパも建て替えが多く、アジアはもっと大きい市場になると考えている。現在世界で400の案件がある。説明資料にあるマンダリンオリエンタルシンガポールは、アジアで始めてマーベルを導入した物件。KFCなど、チェーン店とも連携している。

テクノロジー(技術開発)に重点を置いている。お客様からもテクノロジーに関して様々な要望を受けている。アメリカとイギリスとマレーシアに実験室があり、実験や試験にも力をいれている。

本日見学していただく実験室は、去年の6月に完成した。ヨーロッパのレギュレーションを作るための各種試験も行っている。

【工場見学】
35名が勤務している。オーダーメードばかりなので、地域ごとに小さな工場がある。これからはブラジルや香港などにも進出していく。ベトゥーヌの工場は、海外に輸出するために20年前に建設した。レンジフードだけでは売り上げが足りないので、ダンパーなども開発したのがきっかけとなっている。昔は換気天井システムも作っていたが、今はキャプチャージェットだけを製造している。一つの商品を製造するのに3-4週間かかる。看板システムを導入している。3mまでのユニットを作れる。キャプチャージェットは普通のフードに比べて形状が複雑なので、一つ一つ手で組み立てている。一日最大40ユニット製造している。

キャプチャージェット本体だけでなくて、圧力計やUVシステム、モーターダンパー、自動消火システムまでハルトンで作っている(OEM)。工場でそれらの部品もセッティングしている。たとえば、グリスフィルターの性能確認用の専用装置があり、フィルターの圧力の抜き取り検査を行っている。フィルターの特許を保有しており、ハルトン独自の技術を組み込んだフィルター形状となっている。(ただし日本では使用してないとのこと)

工場内の空調には、置換換気システムが導入されており、工場環境の快適性についても高い意識がうかがえた。フランスの労働基準法で重いものを持たせてはいけないため、運搬用の器具が充実しているなど、労働者を守るための工夫がたくさんあった。工場内での作業環境に対しても大きな配慮がなされていた。

【実験室見学】(フレデリック氏より説明)
船舶の客室用の試験室(客室を再現し、客室の空調を制御するシステムの試験を実施)や、模擬オフィスの試験室(温度を3次元で自動計測するシステムが導入されている)、無響音室(2階建が入る高さがある)、厨房の環境試験室など様々なレベルの高い試験室があり、技術力の強さを感じた。厨房の環境試験室は、一年前に完成した。部屋の大きさは、270m3程度あり、D7・W12・H3.2ほどであった(目測)。換気の能力は8000m3/h程度あり、圧力を監視して給気量を調整している。UVシステムが導入されているので、油煙によるダクトや計測器の汚れを低減している。フードの捕集率の測定が可能で、さらにシュリーレン装置が導入されており調理排気や燃焼排気の可視化が可能など、世界でもトップクラスの厨房環境試験室といえる。

ハルトン厨房環境試験室(ハルトン説明資料より抜粋)
【写真クリックで拡大】

タッチパネル式のモニタリングシステムも開発をしており、自動洗浄のタイミングやUVシステムの状況も管理することができる。フィルターの汚れを圧力値で監視しており、自動洗浄システムと連動している。

実際機器を稼働させ、シュリーレンにより調理排気と燃焼排気を可視化した。排気の動きが鮮明に可視化され、レンジフードから調理排気が漏れている様子がはっきりとわかった。


ルノア(換気の専門家)からレギュレーションに関する説明があった。
新しいヨーロッパの換気のレギューイションを今作っている。現在、レギュレーションの案が完成しチェックバックをしている。ヨーロッパ全体が同じ方向を向くのは厳しく、調整も難航している。今日見ていただいた実験室は、レギュレーションの試験ができる実験室になっている。実験方法はASTM1794(アメリカの基準)を参考にしている。VDI(ドイツの基準)にもウィークポイントがあり、ASTMを参考にしながら、試験方法や基準を多少改良している。高効率フードが優位になるように、キャプチャージェットなどの高効率のフードの場合は、風量を下げていい基準になるよう働きかけている。ASHRAE(アメリカの基準)と同様に連続設置した機器に適合した基準になっている。

ルノアからハルトン製品に関する説明があった。
一年前の夏に完成したヒルトンは64パーセントのコスト削減を約束してキャプチャーとマーベルを導入した。ある一日のデータを提示。実際60パーセント削減していることを確認した。

ネットにつないでKFCの稼働状況を確認した。それぞれの風量をネット上で確認できるようになっている。まだ、改善する余地があり、改良を重ねている。

コストに関しては、マーベルにももともと備わっている既存の機能を使用しているので、マーベルのシステムは変更していない。通信線をつなげるだけなので、ネットの監視システムを追加しても大幅なコストアップにはならない。

お客様にとっては、遠隔で不具合を検知できて対応できることがメリット。飛行場など火災に敏感なオーナーなどはリスク管理のために設置している。また本来であれば、ダクトを清掃するタイミングは厨房により異なるはずで、その適切なタイミングをシステムが教えてくれる。

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