最適厨房研究会
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活動内容の報告 2006年度
 
概要と目次
総会
2006年度総会
外食研究部会
第1回外食研究部会
第1回合同リーダー会議
給食研究部会
第1回合同リーダー会議
セミナー・見学会
秋葉原UDX/東京ガス
横浜管理用地食堂施設見学
11/18情報提供セミナー報告
タイ/バンコク海外研修会報告
欧州厨房調査団報告(第1回)
最先端の厨房施設見学会 いま話題の「秋葉原UDX」と、東京ガス「横浜管理用地食堂」を 見学してきました。
秋葉原UDX4階フロアー、およびフードシアターキッチンプロジェクト概要
■報告者:株式会社シニリトル ジャパン(CLJ) 伊藤芳規
■見学日:2006年7月6日
■出席者:外食研究部会メンバー、事務局18名
 
最先端の施設を有する
「多機能イベントホール」


最適厨房研究会・外食研究部会では、7月6日に秋葉原UDX4F先端ナレッジフィールド (Advanced knowledge field) 施設見学を行った。本施設は2006年3月末にオープン開業し、新産業文化創出研究所 (ICIC:Institute of Creative Industries & Culture)が運営研究母体となる「多機能イベントホール」として活動する施設である。
このUDX4階フロアー機能では、CLJが関与しIT環境を応用したデジタルキッチンプロジェクトの他、デジタルメディアプロジェクトとして、3D映像、画像の振興とビジネスユースの新たなる開拓分野を目指すアキバ3Dスタジオ、3Dシアターの施設を有するフロアー構成となる。
先端ナレッジフィールドについての解説を聞く
 
3Dスタジオ見学風景 3Dスタジオでは、画像イメージを3DCAD環境に置き換え、その情報を切削マシン装置等に情報伝達、商品開発のベースとなる部品や製品をプロダクトする研究が進められている。その他、先端ナレッジフィールド運営事務局とデジタルハリウッドが共同運営を行う秋葉原先端スクールラボがある。また、先端スクールラボでは、産官学連携研究開発施設があり、当該分野のR&Dスタッフと大学等研究機関に所属する研究者から構成され、先端メディアを中心に食や健康に至る領域の研究開発も担っている。
   
「調理行為」を新しい視点から研究・分析

この研究機関のキーワードを紹介しよう。まず、人間の感性分野の視点から分析する“見る”では、立体映像、バーチャルリアリティ、ウェアラブルコンピューター他。“遊ぶ”では、TVゲーム、デジタルシネマ、インタラクティブエンタテイメント他。“感動”では、人間工学、視覚工学、認知科学、脳科学、感性工学、生体計測他。“こども”では、食育の活性化や障害者支援用コンテンツとシステム等。いずれも、人の五感や感性領域に関する研究とコンセプト開発を行う機能開発フロアーとして考えられている。
 
特にCLJか関与した飲食分野の研究施設としては、デジタルキッチンとデジタルダイニングプロジェクト開発が進められている。もちろん、昼と夜は一般ゲストを対象に料飲営業を行うが、厨房環境や運営面では、従来の勘と経験値で構成されていた人間行動、特に調理行為と連動するオペレーションを分析する研究機関として考えられている。 客席
調理と料理品は、人間の味覚、臭覚、視覚が織り成す業の領域である。その不明確となりがちな作業感性を、出来るだけ明らかにする手法を研究・分析する飲食施設として考えられている。音楽の世界で比喩するならば、公開レコーディングスタジオであり、デジタル化されたレシピのメニューコンテンツを記録するレコーディング・キッチンスタジオとも言える施設環境である。
 
料理人の「勘と経験」をデジタル化する試み

様々な「キッチンスタジアムイベント」を計画するフードシアターでは、データ・映像収録用の各種AV・デジタル機器、一部デジタルモードで稼動する調理機器を活用し、外部より招聘された料理人の作業モードをデジタル化(レコーディング&アーカイブ化)する施設としても考えられている。その他、トレーサビリティや食育用データ、栄養価やカロリーの健康データまでを情報編纂するための将来研究や、電子メニューシステム等による受発注や課金を行う新分野への取り組みを同時に目指す機関でもある。
 
東京フードシアター5+1のセントラルキッチン見学風景 飲食のデジタル環境と応用性を目指す「東京フードシアター 5+1(Tokyo food theater five plus one)」では、一般飲食営業と同様、各調理カウンターブースからは四季折々の食菜を提供、デジタルキッチンと言う無機質なイメージを払拭する環境構築が工夫されている。特に、調理作業と設備研究では、IRM (Intelligent Restaurant Management System) 運用ソフトをベースとして、調理作業者の勘と経験、管理面における行為を、可能な範囲で数値(デジタル化)に変換、システム内に取り組む手法を基本としている。
   
システム管理の範囲は食材荷受けからお客様への食提供にまでわたり、その中で輻輳する作業シナリオを断面的、あるいは時系列で掌握するシステム研究が行われる。人間介在の加工方式や機器使用時の下処理範囲、調理工程における機器加熱シナリオをメニューごとに登録、PCを経由して、加熱機器の制御できる範囲をシステム管理する。同様に作業者の必要人件費、消費される食材原価を組み入れ、無駄のない飲食作業環境の構築に寄与するためのシステム研究を行っている施設である。
 
業務用厨房の新たな価値の発信基地へ

従来、調理および食産業の研究は様々な形で行われてきた。しかし、各外食分野での調理場内で行われる各作業と調理レシピに関しては、様々なシナリオと障害も影響し、明らかにされていないのが現状であった。今回、新産業文化創出研究所の食に関する深い理解を得て、不透明な業務用調理場環境と作業域が明らかに出来る施設が実現された。その研究成果が、各種調理設備への新たなる知財の付加と関連するお客様への価値創造、各飲食業態へのノウハウ伝達と飲食企業の成長、人材育成や食育環境への活性化に貢献する発信基地へ成長することに期待したい。
 
東京ガス「横浜管理用地食堂」
■報告者:研究会事務局
■見学日:2006年7月6日
■出席者:外食研究部会メンバー、事務局16名
 
1日に300〜500食を提供する最先端の厨房施設

横浜市鶴見区に、東京ガス株式会社の研究施設、研修施設等が集まる「横浜管理用地」がある。ここに、2006年8月オープンの従業員食堂が新設され、6月初旬に引渡しが行われた。300〜500食/日を予定する厨房施設であり、稼動後のオペレーションを株式会社グリーンハウス様が行うことが決まっている。
   
東京ガス/横浜管理用地食堂内風景

建物の設計は、株式会社日本設計、株式会社日建設計、株式会社久米設計、東京ガス都市開発株式会社JV。厨房設備の設計は、株式会社グリーンハウスおよび株式会社三栄コーポレーションリミテッド。施工は、株式会社三栄コーポレーションリミテッドが担当した。

稼動前ということで、設置機器の見学となったが、施設運営者の立場から設計に携わった株式会社グリーンハウスの開発支援部マネージャーである多田裕氏に、工夫した点や苦労した点等についてお話いただいた。

   

「活きた厨房ショールーム」を実現しました。
〜多田裕氏(株式会社グリーンハウス)のお話〜


基本設計の段階で、厨房スペースはあらかじめ決められていました。その中で私たちが希望した内容は取り入れてもらえたと考えています。

例えば研修センターのある本敷地では、社員の方への教育の一環として、個々の厨房機器や厨房内のオペレーションそのものを見て学んでもらえる「活きた厨房ショールーム」としての機能をもった厨房を運営者の選考プレゼンで提案しました。実際、厨房内の一面に大きなガラス張りの窓が設けられ、外から中が見える作りになっています。外から見られることで、スタッフが適度な緊張感を持って仕事にあたり、厨房内を清潔に保とうとする意識が強まることを期待しています。

   
また「活きた厨房ショールーム」として、効率的な作業動線を意識し、機能的に優れる換気天井システムや、清掃性に優れたウォールマウント仕様を採用しました。設置機器に関しては、運転時間の長いものは、従来型に比べ機器からの輻射熱を抑えた「低輻射」タイプを採用することで、作業環境を良好に保つよう考えました。 厨房内で多田様からの内容説明 を聞く
(主な設備)
・換気天井システム(自動洗浄タイプ)
・コンクリートベースによる機器設置
・天井配管設備
・R仕様:壁面と床の境界ゾーン
・排水ます

(主な設置機器と仕様)
・低輻射回転釜、低輻射立体炊飯器:長時間使用する機器は、低輻射タイプを採用
・ティルティングパン:ウォールマウント仕様で機器下部の清掃性を確保
・ワークテーブルおよび冷機器等:ロングアジャスト仕様で、機器下部の清掃性を確保
・フライヤー:清掃性向上タイプを採用

 
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